2016.02.12 FUJIFILM

X-Pro2 アドバンストハイブリッドマルチビューファインダー Part 1

驕っているわけではないが、X-Pro2はFUJIFILMが現在持てる技術をすべてつぎ込んで作り上げたカメラだ。
だから、どこから見てもX-Pro2は”FUJIFILMの限界ギリギリ”になっているし、”FUJIFILMらしさ”を追求している。
しかし、その中であえて”X-Pro2らしい”ところと言うならば、”Hybrid Multi View Finder (※以下HMVF)”となると考えている。
なぜならば、X-Pro1、X-Pro2に搭載されているHMVF、このようなFinderはカメラ業界広しといえど、ちょっと類するものをお目にかかったことはないからだ。
HMVFは、OVFとしていわゆるレンジファインダー的な素通しのファインダー像を見ることができ、そしてEVFとしてミラーレス的な100%視野率のスルー画も見ることができる。しかも、その両方を同時に見ることもできる。また、素通しのファインダー像は、レンズの焦点距離に合わせて変倍させることもできる。

しかしながら、あまりにも多くを盛り込みすぎたせいなのか、このHybrid Multi View Finderは、いわば鬼っ子的な存在で、”分かる人には、分かるけれど、、、(自分には必要ない?)”と言われ続けてきたのも事実だった。
そもそも、レンジファインダー的な素通しファインダーの有用性がマイナーになりつつある時代性もあったし、X-Pro1のHVMFには視度調整機能が内蔵されていなかったり、若干敷居の高さも否定出来なかったのだ。

一眼レフのファインダー性能を語るに際し、”視野率”という概念がある。いわゆるプロ機では”視野率・約100%”が条件となっている。これに対し、素通しのOVFは”100%のさらに外を見せてくれる”というのが、第一のアドバンテージとなる。OVF上に浮かぶブライトフレーム(※X-Pro2は視野率92%)だが、そのさらに外側に何があるのかを見せてくれるのだ。
撮影のことを”Shoot(=狙い撃つ)”と表現することがあるが、これは100%の視野率を持つ一眼レフ的な撮り方と言える。見えるものをキチンと狙い通り撮るという感じだろうか。
これに対し、素通し式のファインダーは、”Snap(=切り取る)”と表現するのが相応しい。フレームの中にあるもの外にあるものを俯瞰的に認識しつつ、それらの構成要素がどうなるのかを予想しながら、タイミングを見計らって”切り取る”という撮り方である。
また、素通し式のファインダーを嫌う人の意見に”ピント位置が見えない、被写界深度が分からない”というものがあるが、これはむしろ逆に考えるとメリットがわかる。それは”被写界深度外にある構成要素を、見ることができる”ということだ。

いわゆる一眼レフは、位相差を利用してAFしている機構上ファインダーでは”絞り開放”の像を見ていることになる。つまり人間の目よりも被写界深度の浅い像がファインダー上に現れる。一眼レフのファインダーを覗くと”オオッ”となる理由のひとつであるが、画面の構図を考える上では好ましくないこともある。ピント面の前後にある情報、つまり奥行き方向にある構成要素が見えなくなってしまうのだ。
何か特定の被写体を”際立たせる”という撮り方には、一眼レフのファインダーは良いが、その被写体+周りにあるもので”ストーリーを演出する”という撮り方をするには、素通し式のファインダーのほうが向いている。
ここでも”Shoot”と”Snap”の違いは明確に現れている。

さて、ここまできてどちらのファインダーの方が優れているか?を断ずるつもりはない。なぜならば、それぞれに適した撮り方・被写体があるからである。ここで言いたいのは、”両方のいいとこ取りは出来ないのか?”ということなのだ。そして、その答えは存在する。X-Pro2である。
OVFを使えばレンジファインダー機にもなるし、EVFを使えばSLR機にもなる。そして、その両方を一度に行うこともできる。
素通しファインダーでフレーミングとタイミングを決めながら、右下の小窓に写るEVF像で露出を見る、なんだったらピント拡大もできる。

X-Pro2を手にしたら、一番操作してほしいツマミの一つがフロントのレバーである。そこを右左するだけで、このカメラは多くの表情を見せてくれるのだから。
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 X-Pro2 アドバンストハイブリッドマルチビューファインダー Part 2