2017.09.22 Patrick La Roque

XフォトグラファーPatrick La Roqueが語る「GFX 50S + Lexus ~静かな力~」

Patrick La Roque

私はカナダのモントリオールに拠点を置くフリーの写真家である。主に人々、ストリート、商品などを撮影するが、何を撮る場合でも、物語を伝えるよう意識している。
ビジュアルエッセイやドキュメンタリー作品を手掛ける写真家集団「Kage」の創設メンバーの一人であり、ポートレートやコマーシャルに特化したスタジオも運営している。

GFX 50Sは、色味やレンダリングなど富士フイルムの良いところをすべて取り込んだカメラ。しかも大判センサーで。大判センサーの魅力は高画素化だけに留まらない。そもそも、私はそんなにたくさんのピクセル数を必要としない。それよりも大判センサーだから成し得る広域なダイナミックレンジ、豊かなディテール、滑らかな階調こそがGFXの最大の魅力だろう。夢物語と思っていたカメラが実現され、私はこのカメラを使って日々仕事に取り組んでいる。
当然と言えばそれまでだが、GFXの描写は驚くほどにシャープ、それに精度が高い。だから、レクサス LC500のように美しく精密にデザインされたプロダクトを撮影する時、GFXの精度の高さのおかげで撮影が良い方向へ進んでいく。ラインや曲線はくっきりと浮かび上がり、質感もより豊かに鮮明に描写される。私は、GFXで撮る写真に「静寂」を感じ取る。ビジュアルコンテンツを「音」で表すのはおかしいかもしれないが、GFXの写真には「静かな力」がある。そして、それはこのクルマと完璧に共鳴している。

撮影に取り組む際には、どういった写真に仕上げるか事前にアイデアを絞り出す。Lexus Canadaからの依頼で以前にも同じ車を撮影したことがあったので、今回はライティングや構図も更に緻密に色々と考えた。撮影地を最終決定して、おおまかな方向性が固まった。自然光を取り入れハイキーで撮影しつつも、ハイスピードシンクロでストロボも発光。その場の雰囲気やLC500のフォルムを写真に描写するのが狙いだ。GFX 50Sは思い描いた画を見事に表現してくれた。

私は、撮影中のどこかで一歩下がって被写体と距離を置くようにしている。距離を置くことで、表面的要素以上のなにかを見出そうとするのだ。撮影に集中しすぎるとイメージが偏りすぎしまうときもあるので、脳の働きをリセットする。それは、目を細めて眺める景色と似ている。見えるのはフォルム、それと光の強弱だけだ。今回そのほとんどのカットをGF63mmで撮影をした(私の好みの画角はいつでも50mm)。ほんの少しだけ、GF120mmのマクロレンズで試したが、そのディテールの豊かさに驚愕した。素晴らしいレンズだ。このレンズも手放しがたい。それにEVFのチルトアダプターも良い。今までにないクリエイティブな目線をもたらしてくれる。GFXでの撮影は、他のシステムにはない可能性がある。そして、そのGFXが秘めたポテンシャルは決して撮影の作業の邪魔にはならないのだ。

GFXを購入してから六か月が経過しようとしている。店頭に並び始めた時、即購入した。もちろん、Xシリーズも今でも好きだし、仕事やプライベートでフル活用している。だが、中判が私の新しい領域を切り開いてくれた。人生をさらに豊かにしてくれた。

GFXを購入してから六か月が経過しようとしている。店頭に並び始めた時、即購入した。もちろん、Xシリーズも今でも好きだし、仕事やプライベートでフル活用している。だが、中判が私の新しい領域を切り開いてくれた。人生をさらに豊かにしてくれた。

GFX Mash Up Patrick La Roque x Lexus