2019.08.14 Huseyin Aldirmaz

フセイン・アルディマスによるXF16-80mmF4 R OIS WRのレビュー

Huseyin Aldirmaz

1975年生まれ。アンカラ出身。
1994年、Fotoğraf Sanatı Kurumu – FSKにて活動を開始。1996年からはAnkara Fotoğraf Sanatçıları Derneği – AFSADにてキャリアを積む。
2011年以降、ART Niyetliler Photo Group (ANFOT)でトレーニングを主催。そのほかにもトルコ内各地にてトレーニングをおこなう。
現在も、セミナーやプレゼン、写真旅行、ワークショップなどを各地にて開催している。

フジノンレンズの中で、焦点距離とF値のバランスが一番取れているのはこのXF16-80mmと言って良いだろう。広角から標準域までの焦点距離をカバーするこのレンズは、ストリートフォトやトラベルフォトに有用だ。一般的な建築物の撮影もこなせるこのレンズの守備範囲の広さに、満足しない人はいないだろう。細かいところを見ていこう。

デザイン / 操作感

大きさと重さはちょうどXF18-55mmとXF16-55mmの間辺りで、理想的だ。

ズームリングのトルク感がちょうどよく、スムーズにワイド端16mmからテレ端80mmまで移動することが出来る。たまにトルク感が緩すぎてレンズの自重でズームリングが動いてしまうレンズもあるが、どうやらXF16-80mmは大丈夫そうだ。撮影中も心地よく操作することができた。非常に良い操作感だ。F4通しと聞くと、どうしてもF2.8と比較してしまいがちだが、そもそもF4は大体の条件で撮影できる明るさだ。テレ端の80mmでF4で撮影する時のボケ味も遜色なく美しい。フォーカスの速さ・精度も問題ない。私が今回使用したのは量産前のサンプル機であったため、本来の性能と言えない部分もあったかもしれないが、それでもX-Pro2に装着しての撮影は非常に良いものに仕上がった。レンズにはクリック感の良い絞りリングが搭載されており、F4からF22まで可視化されているのも良いポイントだ。

手ブレ補正機構

この時代になっても、手ブレ補正機構は全てのレンズに搭載されているわけでは無い。このレンズの手ブレ補正機構は、テレ端での撮影で威力を発揮する。ファインダーを覗くと、6段分の補正でピタリとブレが吸収されているのが分かる。光が少なく暗い条件下でも、ISO感度に頼ることなく、1/15秒でシャッターを切ることが出来る。

画質

このレンズは究極のポートレートレンズでは無くて、オールラウンダーなレンズであることは覚えておいて欲しい。なので、目が飛び出るような画質は期待しないで欲しいが、全般的に非常にシャープで満足のいく画質であることには間違いない。繰り返しになるが、手ブレ補正機構が良く効いており、比較的遅いシャッタースピードでもブレることなく撮影できる。

防塵防滴設計

プロの写真家が撮影機材を探しているときに条件に挙がるのが、果たしてその機材が悪天候下でも問題なく使用できるかどうかだ。もしあなたが私のように一日中ストリートで撮影をするような人であれば、防塵と防滴設計のレンズを手に入れるべきだ。もっと言うと、極寒や熱帯にも耐えうる性能であると更に安心できる。撮影現場は、経験上、時に氷点下20度から40度まで振れ幅があるのだ。今回は40度の猛暑で、豪雨にも見舞われる中でのテスト撮影だったが、このレンズは問題なく動作してくれた。埃っぽい環境でも、耐久性・操作性の両面で問題は無かった。冒頭でも述べたが、このレンズ一本で幅広い焦点距離をカバー出来ることで、悪条件下でのレンズ交換が不要になったのも嬉しい。

ストリート・フォトグラフィー

ストリートフォトではスピードが重要だ。表情、光の条件、影の状況は刻一刻と変化し続けるため、スピード感を持って対応しなければならない。そう言う意味で、レンズ交換が不要なXF16-80mmは非常に有効だ。多くの人は「良いストリートフォト」は単焦点レンズでないと撮れないと思っているが、これは間違いだ。私にとって良いストリートフォトは、信頼できるレンズだからこそ撮れると思っている。私は富士フイルムと過去5年にわたって付き合っているが、今回のこのレンズの登場は特に嬉しく思っている。F4通しのF値、防塵防滴設計、そして手ブレ補正機構。このレンズはストリートフォトやトラベルフォトだけでなく、建築物やポートレイト撮影など様々な分野で活躍するレンズになるだろう。

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