“Less is More” とは、ドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエが提唱した概念です。”少ないほど、豊かである”、”省略の美”などと日本語では訳され、シンプルさを極めることの価値を端的に表現している言葉です。
しかるにカメラの進化とは、多機能化・複雑化とほぼ同意義になってきたように感じるときがあります。
雑誌を開けば、たくさんの機能の一覧表が必ず載っていますし、新機種の紹介に新機能の搭載は不可欠です。より優れたカメラ・もっと便利なカメラ、と願うことと”省略の美”はなかなか相容れないようです。
たしかに、売れるモノにするためにはセールスポイントは多いほうが安心なのでしょう。カメラを使う方も様々な方がいらっしゃるのですから、その意味でもたくさんの機能を持たせておいたほうがマーケティング上も賢いのかもしれません。
しかし、究極的にはカメラはシャッターを押すだけで写真は撮れます。
”カメラの使いこなしかた”という問いがあったとするならば、すべてのボタンやダイヤルを触ることや、すべてのメニュー画面に目を通すことは、その答えではないように思います。必要な最小限の操作だけで、自分の撮りたい”写真”が得られるほうが、”使いこなして”いるようにも思えないでしょうか?