おそらく風景写真家ほど色にうるさい写真家はいないのではないでしょうか。今も本誌のフォトコンテストに応募されてくる作品の半分近くをリバーサルフィルムが占めることも、風景写真家の色へ強いこだわりを示していると思われます。彼らが長年慣れ親しみ、信頼を置いてきたカラーリバーサルの色は、それを見てきた人々の記憶にも刻まれ、今や風景写真における色の基準となっているのです。
「にほんごの色―あきいろ―」はその繊細さにおける極みとも言える日本の伝統的な色彩を自然風景の中から見いだし、X シリーズのフィルムシミュレーションモードにより表現した作品による競作展です。例えば「東雲色」「深紅」「赤銅色」はいずれも赤系の色。「紅掛花色」や「滅紫」は紫系の色ですが、果たして Xシリーズのフィルムシミュレーションモードは、こうした和の色のテイストをどのように写し出してくれるのでしょう。『風景写真』誌上を飾ってきた読者にお馴染みの風景写真家たちによる作品で、ぜひ実際にご覧になってお確かめください。
展示プロデューサー:石川 薫(『風景写真』編集長)