カラー写真の色再現と同じくらい評価の高い、富士フイルムのモノクローム。富士フイルムがX-Photographerに新製品を使っての撮影を依頼すると、特別に頼んでなくても、“こんなの撮ってみたけれど?”とモノクロの作品を見せて頂くことがよくあります。曰く“きちんとグレートーンが出てたから嬉しくて”、曰く“デジタルでも噓くさくないモノクロだったから”。 ついつい撮ってしまったというのです。“色”は無く“階調”だけで、すべてを表現しなければならないモノクロの世界。そこはカメラの実力・画質設計の哲学が最も問われるところでもあります。何人ものX-Photographerたちがモノクロで撮影してしまう理由は、単なる興味だけではなくカメラの力量もあるに違いありません。さて同時にモノクロ写真は、撮影者にもいろいろと問います。“何を写したいのか?”、“何を伝えたいのか?”、“だから何なのだ?”と。“色”という表現手段そして構成要素を排除したときには、その問いは撮影者に深く突き刺さります。そして撮影者は、“写真は引き算”、“写真は減算の芸術”という言葉の意味をあらためて思い知るのでしょう。 しかして、その問いに真っ当に取り組まれた作品は、黒と白だけなのになんとも雄弁で豊嶢です。Xシリーズ、そしてX-Photographerが撮影した、黒と白の写真展、存分にお楽しみ下さい。