XF100­-400mmF4.5-­5.6 R LM OIS WR ~最後のワンピース

Xマウントレンズラインアップ

ついにでた。というべきだろうか?
これが最後のXマウントレンズという意味ではないが、Xマウントというマップの中で、長い間埋まることのなかった大きな穴という意味では、これが最後のワンピースだろう。

10mm~230mm(=15~350mm相当)までカバーしてきたXマウントだが、これで一気に540mm(=840mm相当)までその焦点距離域を広げることになるのだから。このレンズによって、拡大されるシステムの充実度たるや一目瞭然だ。

Xシリーズで撮影可能領域


しかして、なぜここまで登場するのが遅かったのだろうか?それほど重要なピースだったのに。Xシリーズは、ズームより単焦点レンズに主軸があるから? Xユーザーは、ストリートやポートレート愛好家が多いから? そんなような理由が推測されるかもしれないが、本当の理由は単純である。長い時間をかけて開発する必要があっただけである。

実際、XF100-­400mmには今まで培われた技術が全て搭載されたといっても過言ではない。リニア・モーター駆動、防塵防滴構造、5段手ブレ補正、大口径EDレンズ、スーパーEDレンズ、テレコンバーター対応。その上で、フッ素コート加工やフォーカスリミッターなどの新技術も組み合わされている。それらの技術が全て集結するまでの時間を要したのだ。

名刀のキレ、名手のワザ

XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WRレンズ構成図


ここで、レンズ構成図をみてみよう。
いわゆる高級硝材であるEDガラス、スーパーEDガラスがふんだんに使われている。長焦点レンズ特有の色収差を改善するために、こういった色収差補正レンズを適切に配置しているわけだが、レンズ最前部ブロックに配置されていることに注目されたい。

ここに配置されているEDレンズ・スーパーEDレンズは、XFレンズに採用されているもののなかで最大径となる。つまり、もっとも加工が難しく、もっとも高級なレンズと言い換えることもできる。XF100­-400mm自体、非常に高価なレンズだが、実はこの2枚のレンズだけで製造コストの約30%を占めているのだ。

そこまでして使いたかったのは、他でもない”画質のため”である。その効果のほどは、100万言を費やすよりも数枚の写真をみてもらうほうが良いだろう。長焦点レンズ、ズームレンズとは、にわかに信じがたいシャープさが見て取れると思う。

撮影:Michael DENIS HUOT
撮影:Michael DENIS HUOT(X-T1)
撮影:Michael DENIS HUOT
撮影:Michael DENIS HUOT(X-T1)


しかし、あまりにもシャープなレンズというのは、実はメカ設計者にとっては頭の痛い存在でもあるのだ。なぜならば、シャープなレンズはそれだけ、要求されるフォーカス位置の精度が高いのだ。レンズの停止位置を数ミクロン外すだけで、狙ったところとは違うとこにピントがきてしまうのだ。切れ味鋭い名刀は、遣い手に名手を選ぶということか。

そこで、採用されたのは現在最も静止精度の高い駆動方式であるリニアモーター駆動である。フォーカスレンズユニットそのものをダイレクトに駆動できる。しかも位置検出センサーを組み合わせて、まさにミクロンオーダーでコントロールすることができるのだ。

リニアモーター

全域、そして常時

また、リニアモーターは、手ブレ補正ユニットの駆動にも使用されている。レスポンスがよく、精緻な動作が得意なリニアモーターならではの使い方とも言える。その甲斐もあり、XF100-­400mmの手ブレ補正性能は5段。

ひとくちで”5段”、というのは簡単だが、これを”ズーム全域”で達成している。それだけでもクラスNo.1の性能だが、そのうえ”常時”5段をも達成している。
”常時”?とはあまり聞かない表現である。手ブレ補正の設定で、シャッターを切った瞬間にのみ手ブレ補正を動かすのを”撮影時”と呼び、シャッターを切る前から、つまりファインダーを覗いているときも常に手ブレ補正を動かしているのを”常時”と呼ぶ。

もちろん、”常時”のほうが”撮影時”よりも圧倒的に難しい条件になる。しかし、CIPAの測定基準ではこれらについての取り決めはない。だから、メーカーによっては、ズームレンズの一番効果が出る焦点域だけを”撮影時”で測定し、効果段数を喧伝しているところもある。結果、”本当に手ブレ補正が効いてるのかな?”などとユーザーに思われるレンズが出てくる。

ここで繰り返そう。XF100-­400mmは”常時・全域”で5段を達成している。ビタっと安定したファインダー像を見て正確なフレーミングのもと、ベストの写真をものにできる。

撮影:Andrew Hall
撮影:Andrew Hall (X-T1)

タフでソリッド

中身だけではない、メカ関係にも今まで培われた技術が注ぎ込まれている。高性能なレンズ・駆動ユニットもしっかりと保持させる鏡筒部分のが無ければまさに砂上の楼閣となる。
しっかりとした鏡筒を作るには、肉厚の素材を使えば良い。また樹脂ではなく金属パーツを使えば良い。しかし、肉厚の素材も、金属パーツも非常に重い部品である。

そもそも、高性能なレンズなら重くてもいいのだろうか? その問いにはFUJIFILMはノーと答えた。
では、軽くてほどほどのレンズは許されるのだろうか? それについてもFUJIFILMはノーと答える。
そこで、取られた方法は、剛性優れる金属TUBEを採用しながら、可能な限り肉抜きを施す、という方法だ。これはXF50-­140mmでも採用された技法がベースとなっている。

 重量を1kg以下にする挑戦

様々なパターンの肉抜きパーツを組み合わせて、実技テストを繰り返す。ギリギリを見極めるために。そうして理想的な形状が決まる。そして次に、生産ラインでの生産性を考える。

そう、F1マシンのように1台だけ手作りで作れればいいものではないのだ、何万本作っても、同じ性能が出せるような形状でなければならないのだ。また、この肉抜き作業には非常にコストがかかる。”1g軽量化するために、いくらかかる”というレベルだが、この積み重ねで、鏡筒部分ではTOTAL30gの軽量化が達成されている。 XF100-­400mmを構えたら、中にはこんな”肉抜き溝”が彫られている、と想像してもらえると開発メンバー・生産ラインも報われるだろう。
 

XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR の内部


また、防塵防滴耐低温構造に加え、今回採用されたフッ素コートの効能は高い。少々の雨ならば弾いてしまうし、油脂汚れなどにも強い。誤ってレンズ前面に手をふれてしまった場合でも、レンズクロスで軽く拭いてあげるだけでキレイになる。アウトドアでの撮影をメインにするユーザーならずとも、その恩恵にはあずかることができるだろう。

フッ素コーティング
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XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR

 

 


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