フジノンの歴史 エピソード4

-1972 コート技術-

FUJIFILMのレンズには”EBC”の文字がクレジットされているものがある。これは”Electron Beam Coating”の略で、多層反射防止コートがレンズに施されていることを表している。レンズと空気の屈折率(INDEX)の差から生まれる光の反射を防ぎ、描写性能を高めるためのテクノロジーである。

その歴史は、1972年まで遡る。FUJINON F3.5/55mm Macroに施されたのが、カメラ用レンズとして初めての採用である。

当時、コートに用いられる素材は少なく、狙った性能を得るために14層ものコートが施されたという記録が残っている。その効果たるや画期的なもので、この技術開発は第25回日本映画テレビ技術協会賞を受賞している。

そして、それ以降もコート技術の開発はつづく。EBCは、スーパーEBCとなり、現在は透過率99.7%を誇るHT­EBCとなった。

そして全く新しいコート手法を確立し、NANO GI COATという新技術も開発された。そして、コートの性能向上は、光学設計の自由度にもつながっている。たとえば、透過率を高めること、反射率を減らすことは、多枚数でのレンズ構成を可能にする。

もともとこの多層膜コート技術は、30枚以上ものレンズで構成される放送用TVレンズや映画用レンズの性能向上のために開発されたものなのだ。

他にもある。たとえば広角レンズなどに使われる、曲率の高いレンズエレメントは反射が起きやすい。しかし、良いコートがあれば、そういったシビアな設計もできるようになるのだ。

コート技術の発展は、レンズ開発に直結している。夢のコートが出来れば、夢のレンズに一歩も二歩も近づく。

エピソード5を続けて読む:
 エピソード5 -ファインダー-


ホーム X Stories フジノンの歴史 エピソード4
© FUJIFILM Corporation