X­-Pro2 AFは速くなったのか?

X-Pro2

最速値の実態

"AF速くなってるらしいじゃん"
X-­Pro2が、各地のショールームや店頭に並ぶようになり、手にとったユーザー達の間ではこのような評価がされているようだ。

我先にとX­-Pro2のデキを確かめにいくユーザーの多くは、X-­Pro1を使った経験があろうことは想像に難くない。確かに、X-­Pro2はX-Pro1に比べて飛躍的にAF性能は向上している。その評価は"正解"である。しかし、X­-T1やX-­E2、X-­T10などの位相差AF搭載機を所有のユーザーが、もしそう感じているとしたら"数字としては間違い、実感としては正解"ということになる。

と言うのも、いわゆるCIPAで規定されている測定環境下での、"最速AF時間"はX­-Pro2と既存の位相差AF搭載機は変わらない。つまり、Xシステムの最速値はX-­Pro2を以ってしても更新されていない。

しかし、この"最速AF時間"という概念がクセモノで、その測定条件は最高速を出すためのものなので、かなり特殊な条件になっている。つまり、実際の撮影現場でみられるシーンとはどうしても乖離してしまうので、ユーザーが実感するAF速度とは違いを生む結果になってしまう。上述の”数字としては間違い、実感としては正解”の原因はここにあるのだ。

X-Trans CMOS IIIセンサーイメージ

PD­AFエリア

しかし、"最速AF時間"は机上の空論かもしれないが、その最速値を出せる条件、ないしは出せなくなる条件を理解することは意味がある。具体的には位相差AFが効いているならば、AF速度はかなり理想値に近づく。位相差AFによる駆動ならば、フォーカスレンズがあるべき位置まで最短距離で動くためだ。

ということで、第一手として位相差AFエリアを拡大することが考えられる。
実際に、X-­Pro2に搭載されたX­-Trans CMOS IIIの位相差エリアの面積はX-Trans CMOS IIよりも2倍以上広い。精度の高い位相差情報を獲得できる範囲ギリギリまで拡大したおかげで、たいがいの被写体・シーンは、このエリア内でカバーできるようになっている。

PDAFエリアの比較

PD(位相差)AFの得手不得手

つぎに位相差AFが苦手とする被写体をツブしていくことになる。具体的には、位相差を認識しにくいのは、コントラストの低い被写体や、高周波成分で描写される被写体だ。

位相差を認識するためのアルゴリズムをブラッシュアップさせていくのだが、これが実にシンドい作業だ。X­-Trans CMOS IIIに埋め込まれたPD画素の配置に対しベストの認識アルゴリズムを構築するのだが、そのためには様々なパターン、チャート、シーンをもとに作りこんでいく。精度を高めるのはもちろんだが、時間のかかりすぎるアルゴリズムパターンでは意味が無い。それから誤認識もNGだ。積み上げたテストの数が、アルゴリズムの完成度に寄与する。そしてそれを駆使して処理するのは従来比4倍もパワフルな処理能力を持つX Processor Proだ。

コントラストの低い被写体の例
コントラストの低い被写体の例
高周波成分で描写される被写体の例
高周波成分で描写される被写体の例

コントラストAFの意義

しかし、それでもどうしても位相差AFを使えない条件下も出てくる。実はそこが最も重要なポイントだ。
位相差AFが効かない場合、DSLRはお手上げ・MFするしかなくなる。だが、ミラーレスカメラの場合はコントラストAFに切り替わる。
そう、コントラストAFの性能が向上すれば、システム全体のAF性能は向上するのだ。

コナン・ドイルは、鎖の理論 "鎖の強さは、最も弱い環によって決まる"という言葉を残した。AFの話に置き換えると、PD­AFの効く最速時ではなくコントラストAFの速度こそが”AFの実力”を決定しているようにも思える。

X­-Pro2では、そのコントラストAF性能Upのために、システム全体で取り組んだ。
まず、センサー X-­Trans CMOS III。コントラストを読みだすために384fpsで駆動させる。これはX­-Trans CMOS IIの2倍の速度、X­-Trans CMOS Iと比べると4倍の速度になる。そして、その高速読み出しに対応しタイムリーに信号処理する。言わずもがなのX Processor Proである。

次に、その読み出し・処理された信号に応じるべく、レンズ側の開発・設計が行われる。第一に、X Processor Proの高速処理に対応できるだけのマイコンがレンズ側にも必要となる。

またマイコンから高速に指示される駆動命令に対応できるだけのフィジカル(=光学設計、メカ設計)も必要となる。具体的には高速・高精度駆動に対応したフォーカスレンズ群とアクチュエーターである。それらの総合的な設計の結果、コントラストAFの高速化は実現する。

コントラストAF


だが残念ながら、この高速コントラストAFの恩恵を享受できるレンズは、XFレンズでもまだ5本しかない。XF16-­55mm, XF50­140mm, XF90mm, XF35mmF2、そしてXF100­-400mmである。

しかし、XF10­-24mmやXF14mmなどの広角系レンズは、そもそもAF速度は速い。そう考えると、焦点距離としては、高速AFが全域カバーしていると言えなくもなさそうだ。うまく使いわけて快適な撮影を楽しんでもらえれば幸いである。

XFレンズのAF速度チャート

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