第6のフィルムシミュレーション クラシッククローム

1.キッカケは、プロカメラマンからの要望

私たちには、長年のフィルム製造を通じて蓄積してきた画づくりのノウハウがあります。そのノウハウやコンセプトを引き継ぎながらデジタルカメラの画作りを 行っています。Xシリーズ用には、フィルムを選ぶ感覚で5種類のカラーのフィルムシミュレーションを用意していました。「PROVIA」「Velvia」 「ASTIA」はリバーサルフィルムを透過光で見たときの深い色階調を意識してデジタルで表現したものです。「PRO Neg. Std」「PRO Neg. Hi」はネガフィルムで撮影したポートレイトを銀塩プリントしたときのように、肌を重視した色階調に仕上げています。プロカメラマンの道具として Xシリーズが使われることで、フィルムシミュレーションは更なる評価を得ました。その一方で、もっと違う方向性のフィルムシミュレーションを搭載してほし いという要望が上がってきたのです。

2.新しい色再現が目指したもの

それは「もっと濁った雰囲気が欲しい」というご意見でした。特にフォトジャーナリストの方々からのご意見でしたので、ドキュメンタリータッチの写真集や雑 誌などから何百枚ものイメージを読み解き、求められている写真表現の位置付けについて議論しました。その結果、「ドキュメンタリー写真とは撮影者の思いを 写真に込めた写真表現である」という解釈をし、プロカメラマンがストーリーとして語るための画作りを目指しました。また、今の時代、紙に印刷したものを見 るよりもデジタルコンテンツで見る機会の方が多いことも鑑み、JPEG画像をデジタルデバイスで見たときに既に印刷物のイメージになる画作りを目指しまし た。

3.参照するフィルムの存在しない画づくり

以上のように、新たに開発したクラシッククロームは「あるフィルムを再現した」というのではなく、ドキュメンタリータッチの写真集や雑誌から汲み取った雰 囲気を再現しました。そこが今までの5種類のフィルムシミュレーションとの大きな違いです。それぞれの人の脳内に記憶として残っているイメージや、印刷物 として出力された2次的なイメージを目指していますのでクラシッククロームという抽象的な名称になっています。

4.クラシッククロームの特徴

クラシッククロームは、色と階調に特色を持たせています。全体的に彩度は抑え気味、階調は硬めです。参考にした雑誌や写真集で最も印象的だったのが青空の 表現でしたので、青空の表現には特にこだわっています。青空は少しマゼンタを加えると鮮やかな印象に仕上がりますが、クラシッククロームでは敢えてマゼン タを加えずに他のフィルムシミュレーションとは異なる色合いに仕上げています。また、緑や赤など他の色も彩度と色相をコントロールし、全体として独特な色 合いに仕上げています。

5.ユーザーと育てるフィルムシミュレーション

これまでのフィルムシミュレーションは、各用途に最適な画作りを用意してきました。今回プロカメラマンの声を受けて新しい色再現、クラシッククロームを作 りました。これによって、皆様に新しい表現手段を提供できる、と考えています。この新しい色再現を使っていただきたいです。シーンや伝えたい想いに応じて 画質調整機能(シャドウトーン、ハイライトトーンなど)と組み合わせれば、表現の幅が更に広がります。これまでのフィルムシミュレーションも、プロや撮影 の現場の声から生まれブラッシュアップしてきました。今回のクラシッククロームも同様に、皆様からのご意見やご要望を真摯に捉え、少しずつブラッシュアッ プしていきたいと考えています。

光学・電子映像商品開発センター
藤原慎也

光学・電子映像商品開発センター
芦田哲郎


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