被写界深度考察

被写界深度スケール

どこにピントを置くか、それは重要だ。どこまでピントを合わせるか、それも重要だ。しかしその基準は、きちんとあなたの目的・感覚に合わせてあるだろうか?

X-Pro2では、"被写界深度スケール"を"ピクセル基準 / フィルム基準"という2つの基準から選択できるようになった。これこそは、あなたの目的・感覚とカメラ設定をアジャストさせるための項目なのだ。

厳密なことをいうと、光学的にはピントが合っているは場所は、レンズ平面軸と平行なある一つの平面しかない。そこから1mmずれただけでもピントは合っていない。その面以外は"ボケ"ている。理論上は。しかし実際は、このボケ量が無視できるほど小さい場合は、ピントがあっているように見える。 そう"被写界深度"とは、ピントがあっている面とその前後にある(理論上はボケているのだが)、ボケてないように見える部分のことなのだ。

また、ピントから外れた面で発生するボケを"錯乱円"と呼んでいるが、ピントがあってるように見える程度の小さなボケを"許容錯乱円"と定義している。"許容錯乱円"が大きいほど、"被写界深度"は深くなる。つまり、"被写界深度"は"許容錯乱円"に比例する。

問題は、この"許容錯乱円"が、イメージャーの解像度や鑑賞媒体によって変わってくるということなのだ。

事実、昨今のデジタルセンサーは銀塩フィルムの解像力を超えており、許容錯乱円は小さくなっている。それに加え、ピクセル等倍表示がポピュラーになり、"許容"される錯乱円はさらに厳密になった。"浅く"なった"被写界深度"は、より厳密なピント位置・ピント範囲を追求するようになったとも言える。"ピクセル基準"の被写界深度は、そういった用途のためにある。

被写界深度スケールの設定画面

しかし、そもそも被写界深度とは"深い"からこそ意味がある概念とも言える。"深度"の深さを利用するスナップ撮影などでは、厳密すぎるスケールではむしろ用を成さないだろう。

ストリートに立つ、絞りをF8にセットする。光を探す。構図を決める。被写体がくる位置を予測する、そこをめがけてピント位置を決める、多少のズレは"被写界深度"がカバーしてくれる。そういった撮影では、ある程度の"許容"範囲を持ったスケールのほうが使いやすい。

それは、銀塩フィルム時代から受けつがれている肌感覚と言ってもよい。そして、その感覚にマッチさせた基準が"フィルム基準"なのだ。(※数値としては、4ツ切りプリントで出力し、標準的な鑑賞距離で見た場合の許容錯乱円をベースにしている。)

どちらが正しいかではない。目的・感覚に合わせて選択するのが正しい。鑑賞するサイズが決まっているのならば、それに相応しい方を選べば良い。二つから選べるのだから、それらを行き来しても良い。

ちなみに、XF14mmやXF16mm、XF23mmのような鏡筒に被写界深度スケールを持っているレンズの場合は、"フィルム基準"をベースに目盛が刻まれている。目測+マニュアルフォーカスで速写するような撮影スタイルには、この3本のレンズは非常に使い勝手が良い。


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