X100で切り取る渋谷

X100に出会う以前も、勿論ストリート写真は撮影していた。 しかしこのカメラに出会って以来、自分はもうこのX100シリーズを手放せなくなっている。

手に馴染む大きさ、素早いレスポンス、ハイクオリティの画質。 そして独立したダイヤルで操作できるシャッタースピード、絞り等々。 コンパクトながら瞬時の撮影に必要な機能はすべて兼ね備えている。

単焦点35mmの画角は自分のストリート写真にまさにフィットするものであり、これがあれば他のカメラは必要がない。

このカメラを右手にハンドストラップでぐるぐる巻きに固定し、自分の眼となり足となりホームタウン渋谷を切り取り続ける。

即座の決定的瞬間も、このカメラなら逃す確率は低くなる。

どこまでも身体に馴染む、使い込めば使い込むほど自身の一部となってくれるのがX100シリーズだ。

X100T

この写真は、渋谷の喫煙所にいるとき、鳩が突然飛び交い、即座にシャッターを切った。
通常はエリアフォーカス1mに設定、絞りもf/11前後にしているのでピントが外れることは滅多にない。
そうした設定によりこの写真は撮影することができた。

X100T

この写真も瞬時に撮影した。
自分の写真の特徴は、スピード感、被写体との対峙、それに伴う緊張感や街の喧騒等を表現することだ。
この写真もその一つ。
咄嗟の判断でシャッターを切る、街を、ヒトを切り取る。

X100T

ストリート写真、スナップはとにかく歩くこと、歩きまわりことが大切。
この写真も瞬時に遭遇した瞬間をカメラに収めた。
歩けば歩くほどそうした瞬間に遭遇する確率は高くなるだろう。
そしてその瞬間をきっちりと切り取ること。
X100シリーズなら自分にはそれは可能だ。

あるインスピレーションが湧いてきたとき、それを即座に具現化できるのもこのカメラの特徴の一つ。

例えば、日中でもスローシャッターで切り取りたい場面に遭遇した際、すぐにNDモード、絞りを最大限に絞り込めば、 それは可能となる。

自身のイマジネーションを具現化してくれるカメラ、それがこのシリーズの大きなメリットの一つでもある

X100F

この場面は日中だったが、静と動を表現したかった。
すぐさまNDフィルター機能をOnにして、スローシャッターで切り取ったものだ。

X100F

雨中の渋谷スクランブル交差点、その中で行き交う人々を動的に伝えるにはやはりスローシャッターが 効果的だ。
フラッシュを炊いてスローシャッターで切り取る。

X100S

こちらは夜の渋谷スクランブル交差点。
同様にスローシャッターでフラッシュを炊くことにより、よりダイナミックで喧騒感(少なくとも自分はそれを感じている)のあるその一瞬をカメラに収めることが可能だ。

X100T

歩くこと。その中で自分の感覚とフィットする場面に遭遇する。
バスのフロントガラスに写り込んだ渋谷の高層ビル。景観。そして運転手。
この両者のせめぎ合いが自分には興味深い一枚となった。

X100S

都会の若者は幸せか。
そのようなことを考えられずにはいかない一枚。

ストリート写真は時代を映す鏡だ。
そして僕自身の心の裡も映し出す。
その両者の兼ね合いによって様々なストリート写真が生まれてくるのだ。

もとい、そうであればこそ生きた時代を映すストリート写真は面白いのだ。

さて、果たして自身の写真にその成果は出てきているのであろうか。

勿論まだ答えは出てこない。

写真表現の旅は遠く、果てしない。

しかし自分はその最果ての旅をこれからも続け、その伴侶としてX100シリーズを携えていくことに変わりはないだろう。

変貌し続ける東京、渋谷。

この街を、人を、どこまでも切り取り続けたい。

ただそれが自分の欲求であり願望であり、そしてまたこの時代のアーカイブとなるのならば、それに勝る幸せはないだろう。

X100S

渋谷の映画館のチケット売り場の女の子。
写真を撮りますと声を掛けるとこちらを向いて、また元のうつむいた姿勢に戻った。

X100T

被写体となる方々との対峙は続く。
こちらはおそらくツーリストで、両手に荷持を持ち、渋谷の横断歩道を渡る。

しかし、決しては忘れてはならないこと。
被写体となる方々への敬意と感謝の気持ち。

これがなければ、それは写真として成立しない代物となるに違いない。

この足と眼が動く限り、街とそこを行き交う人々を切り取り続けたい。

写真家について

鈴木達朗
僕がストリート写真を撮る理由は、この世界はなんと美しく、興味深く、素晴らしいか。
そして時にはそれは狂気めいたものを秘めているように思える。
僕はその世界を自身の眼と自身のカメラを通して、写真で表現したい。
そしてその衝動にも通じる欲求によって撮影活動を行っている。

僕の写真を見た方々が、そのとき何らかの感情を惹起してくれれば、それに優るものはない。

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