作品を撮りたいと思わせるカメラ。

By 高橋俊充


フォトドキュメンタリー。何気ない日常を捉えたい。その地に立ち、その生活、行き交う人々、空気、光と影…。なんの演出がなくとも、そこには日常というすばらしいドラマがある。

X-Pro1と出会うまで、仕事で一眼レフは使うものの自身の作品撮りはほぼM型LEICAであった。それはなぜか。いろいろ理由はあるが一番はスルーファインダーだからであろう。ピントの山も見えなければボケも見えない。素通しのガラスにブライトフレーム。一眼レフのようにファインダーの中で全ての仕上がりが見えてしまうのではなく、レンジファインダーはある意味、見えていないもの写そうとしているのだ。捉えたいものにピントを合わせシャッターを落とす。細かい構図やボケなどに惑わされず、ファインダーの向こうに見えるカメラに納めた情景だけに集中できる。これこそが写真の本質ではないかと感じる。X100から始まったハイブリッドビューファインダー。スルーファインダーにEVFという組合せは、富士フイルムが写真の本質を知るからこそ選んだスタイルなんだろう。

初めて手にしたX-Pro1は、その独特のファインダーからくる撮影スタイルもさることながら、画のすばらしさに惹かれた。ローパスレスによる解像感だけではなく、洗われたような瑞々しい鮮度を感じる。そのまま書き出したJPGの画の良さはもちろんだが、真価はRAWにあるのではないか。そのRAWを開いた時の画は絹のような世界だった。JPGをポジフィルムとすればRAWはネガフィルム。X-Pro1のRAWは、まさにそれであった。素性よく鮮度の高いデータは、幅広い階調がありネガフィルムのように作品として追い込んでいく事が出来る。それはこのデータの中にフイルムメーカーである富士フイルムが培ってきた写真表現におけるノウハウが詰め込まれているからだ。カメラはただの道具ではない。ペンであったり筆であったり…。X-Pro1。まさにこれで作品を撮りたいと思わせてくれるカメラだった。

X-E1 × MOROCCO

Photo by Toshimitu Takahashi
X-E1 & XF35mmF1.4 R
Photo by Toshimitu Takahashi
X-E1 & XF18mmF2 R
Photo by Toshimitu Takahashi
X-E1 & XF35mmF1.4 R
Photo by Toshimitu Takahashi
X-E1 & XF35mmF1.4 R
Photo by Toshimitu Takahashi
X-E1 & XF35mmF1.4 R
Photo by Toshimitu Takahashi
X-E1 & XF18mmF2 R
Photo by Toshimitu Takahashi
X-E1 & XF18mmF2 R
Photo by Toshimitu Takahashi
X-E1 & XF35mmF1.4 R
Photo by Toshimitu Takahashi
X-E1 & XF35mmF1.4 R


X-E1と出会い、モロッコを旅した。旅のカメラはコンパクトでさり気ないものがいい。X-E1はそんな旅に最適なカメラだった。手に納まるようなサイズとルックス。人々はファインダーを向ければ笑顔で応えてくれた。碧い路地が印象的なシェフシャウエンからサンドベージュの迷宮、フェズ。それぞれ独特の空気と湿度を感じる。X-E1はその空気までも写し出してくれた。フェズの夕暮れに出会った子供達。ひとり、またひとりと集まり、私達を撮ってくれと言わんばかりにカメラ向かって微笑んでいた。その笑顔は今でも忘れられない。

X-E1 × SICILIA

Photo by Toshimitsu Takahashi
X100S
Photo by Toshimitsu Takahashi
X100S
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-E1 & Touit 2.8/12
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-E1 & Touit 1.8/32
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-E1 & Touit 2.8/12
 


シチリアに訪れた際、X-E1にCarl Zeiss 12mmと32mmの二本のレンズを携えた。Zeiss T*コーティングは銀塩フィルム時代から愛用して気に入っていた。高いコントラストに色乗りも良く、シリチリアンブルーの淡い空、青い海をX-Transセンサーは見事に描き出してくれた。まさに銀塩の頃の画を思い起こさせてくれるものだった。

X-E2 × ITALIA

Photo by Toshimitsu Takahashi
X-E2 & XF23mmF1.4 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-E2 & XF35mmF1.4 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-E2 & XF14mmF2.8 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-E2 & XF14mmF2.8 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-E2 & XF14mmF2.8 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-E2 & XF14mmF2.8 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-E2 & XF14mmF2.8 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-E2 & XF35mmF1.4 R
 


X-E2へ進化したEシリーズはさらにスナップシューターとして快速ボディとなった。街を歩きカメラを向けたくなる瞬間。ファインダーを覗きフォーカスを合わせシャッターを落とすと言う一連の動作が、X-E2ではほぼシームレスとなった。搭載された位相差AFのスピードは圧倒的でワイド23mmや14mmレンズを装着した時には、ほぼフォーカスタイムラグを感じることはなかった。フォーカスのストレスから解放されると被写体に集中できる。撮りたい気持ちと写真がシンクロするのだ。道行く人々はカメラを向けられていることすら感じない。ありのままのイタリアの日常を捉えることが出来た。

X-T1

Photo by Toshimitsu Takahashi
X-T1 & XF35mmF2 R WR
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-T1 & XF35mmF2 R WR
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-T1 & XF35mmF2 R WR
Photo by Toshimitsu Takahashi
X70
Photo by Toshimitsu Takahashi
X70
Photo by Toshimitsu Takahashi
X70
Photo by Toshimitsu Takahashi
X70
Photo by Toshimitsu Takahashi
X70
Photo by Toshimitsu Takahashi
X70


Xシリーズの進化は止まらない。一眼レフライクなルックスで登場したX-T1。そのEVFファインダーは、驚くほどの広い視野でまさに光学一眼レフのファインダーを覗いているかのような気持ちにさせてくれた。また、カメラを操作するという上で軍艦部に並ぶダイヤル類はなんとも言えない安心感を与えくれる。このカメラを手にしてから仕事においてもXシリーズの出番は圧倒的に増えた。もちろんカメラだけが良くてもいけない。写真はレンズで決まる。これまでに出揃ったXFレンズはすごい数となっていた。すべてX-Transセンサーのために設計されたレンズ群は驚くほど高画質で、中でも描写へのこだわりを持った単焦点レンズは魅力的なものばかりである。特に気に入ってるのはXF56mmF1.2だ。ピント面の力強い立体感に対しやわらかいボケ。捉えた絵はどれも幻想的な世界へと導いてくれる。

4年を経てX-Pro2へ

Photo by Toshimitsu Takahashi
X-Pro2 & XF35mmF1.4 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-Pro2 & XF35mmF1.4 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-Pro2 & XF35mmF1.4 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-Pro2 & XF35mmF1.4 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-Pro2 & XF56mmF1.2 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-Pro2 & XF56mmF1.2 R
Photo by Toshimitsu Takahashi
X-Pro2 & XF56mmF1.2 R
 
 


ハイブリッドビューファインダーはX100Tにより大きく進化した。OVF内に小さなEVF窓を表示させる事によりピントの確認が出来るようになり、これまでのOVFの使い勝手を一気に向上させるものとなった。X-Pro2にもさらにその進化形が搭載され、OVFの表示倍率の切り替わるマルチビューファインダーも含め、このファインダー窓の中には、ものすごい技術が詰め込まれている事になる。なぜここまでOVFにこだわるのか。それは光学ファインダーに優るものが無いと言う事だ。ファインダーを覗き、ブライトフレームに構図を描いて写真を撮る。この非常にシンプルなこの行為のための、最高の道具を作りたいという強い思いだろう。

ファインダーのみならずX-Pro2への進化は驚くべきものがある。X-Pro1で産声を上げた唯一無二のカメラは、フォーカススピードを始め様々な改良が加えられ完成形と言えるだろう。見た目こそ同じだが全く別のカメラと思えるほどの仕上がりだ。そしてその良さはスペックに表れないものも多く、手にして使って見て初めて伝わってくる。ダイヤル、スイッチのクリック感。職人が作り出したクラフトのように一つ一つ手に伝わってくる。そして何より気に入っているのがシャッターフィーリングだ。なんとも言えない心地よさで、低くささやくようにシャッター音が手の中で響く。よく写ればいいだけだろうか。そうではない。カメラは単なる道具ではなく、まさに作品を生み出す身体の一部なのだ。手に馴染み触っているだけで気持ちも高揚させてくれる。そしてなにか郷愁を感じるカメラ、X-Pro2。

このカメラとともに早く次の旅に出掛けたい…。

写真家について

Art Director, Designer & Photographer.
1963年、石川県小松市生まれ。
デザインプロダクション勤務を経て、1994年、高橋俊充デザイン室 設立。
アートディレクター、デザイナー、フォトグラファーとしての活動の傍ら、日々スナップ、ドキュメンタリーを主体とする写真創作に取り組む。

作品展:
1983年[FACE]
1985年[WHAT' S GOING ON.]
1993年[異人伝心]
2011年[SNAPS]金沢展、東京展。ほか
JAGDA (社)日本グラフィックデザイナー協会会員
金沢アートディレクターズクラブ会員

ウェブサイト

www.takahashi-design.com

ギャラリー

1 2


ホーム X Stories 作品を撮りたいと思わせるカメラ。
© FUJIFILM Corporation