使用機材
- FUJIFILM GFX 50S
- XF 23mmF4 R LM WR
- XF45mmF2.8 R WR
- FUJIFILM X100F
- FUJIFILM XF10
ストーリー:老いた住人
私は、コマーシャルフォトグラファーとして、常にクライアントの要望を仕事で満たさなければならない。ストリート・フォトでも同じ姿勢で撮影に挑んでいる。「その一枚」を切り取るにはあらゆる要素が融合しないと完成しない。場所、瞬間、偶然な出会い、奇跡的な遭遇など左右される要素はたくさんある。手にしたカメラでその一瞬を切り取って「一枚」が完成する。
テーマを決めて撮影するのを好む。広告写真と同じで、ストリートフォトにも被写体と背景がある。ときに、偶発的にその瞬間に出会うことがある。でも、大概はその瞬間をじっと待ち続けるんだ。待っていても、描いた画が必ず撮れるとは限らない。駄目だったら、また次の機会を狙うんだ。
最後の写真は香港島にあるLai Tak Tsuen。70年代に建てられた公営住宅だ。「公営住宅の父」としても知られている。この地に到着して分かったのは、公営住宅ながらも入館カードがなければ敷地内に入れないということだ。入れないんだったら、諦めて帰ろうとも考えた。だけど、やっぱりちょっと待ってみることにした。集団に混ざり込んで中に入ろうと思ったんだ。
この公営住宅は本当に美しい建造物。少し彷徨って撮影ポイントを決めた。あとは住人が現れるのを待つだけだった。ラッキーなことに、思い描いた場所にまもなくして現れた。
この場所での滞在はたった15分。できればもう少しだけ居たかった。警備員に見つかってしまい、広東語で「ここの住人でないのならば立ち去ってください」と外へエスコートされてしまった。捕まる危険を犯してまでこの住居を訪ねる価値があったのだろうか?私はあると考える。また、機会を待って再訪問してみたい。
この写真でインターナショナル・フォトグラフィー・アワードとインターナショナル・カラー・アワードで佳作を受賞した。