GFX100RF x テオ・スキュドラ

2025.04.03
Thumbnail format Keynote - Theo Skudra.001

私の父は、トム・スキュドラです。父はカナダの写真家で、白黒の報道写真で知られていました。幼少期から、そのように自分を認識していました。カメラはいつも手の届くところにあり、撮影した写真は家中の壁に飾られていました。周囲に父の職業を聞かれたら、「父は有名な写真家です」と答えていました。それが私の誇りでした。

父のプロフェッショナルな生活についての記憶はあまりありません。ですが、父が生前に撮った写真を今でも眺めては想いを巡らせています。昔、父から何度も話を聞きかされました。アマゾンで撮影中にアナコンダを踏んづけたことや、ロデオで牛に乗った話(二度と乗りたくないそうでした)などです。

私は現在、30代後半に差し掛かり、父が活躍していた頃の年齢に近づいています。写真撮影についてもっと質問できる機会があればよかったと思います。父の職業は華やかな世界だと思っていました。それが現在、私が行っていることの礎となっています。

もし父がまだ生きていたら、レンズのこと、計画性と突発性とのバランス、フィルムとデジタルの違い、失敗や成功、撮影現場におけるこだわりへの対処法などを尋ねたことでしょう。しかし、これらを自分の力で解決することによって、独自のスタイルや方法を見つけました。自分で考えることで、より強い形に発展するのかもしれません。

一つ学んだことは、カメラの使い方を知ることで、素晴らしい場所にたどり着けるということです。一歩踏み出すことの重要さを教えてくれます。時には外向的になり、時には自分の世界に没頭させてくれます。思いどおりの光景が写らないとき、辛抱強くあることの大切さを教えてくれます。写真撮影は物事が明確でないときの解決能力を高めてくれます。レンズ越しに見た世界に違和感を覚え、その原因を理解し、修正する方法を教えてくれます。現場で撮影しているのであれば、どのように周りと課題を共有するかを学べます。

その過程で、創造のための挑戦こそ向き合いたい課題であることに気づきます。ピクセルや解像度を吟味するのは簡単ですが、重要なのは意図です。なぜこの写真は良く見えるのか?どうしたらこの写真をより良く見せられるのか?編集時に欲しくなるショットは何か?

すべてに共通することは、創造時に道具に気を取られてはいけないということです。道具が自身の手足のように感じられ、邪魔をしたり行動を制限したりするものであってはなりません。富士フイルム GFX100RFとの時間は楽しいものでした。私が求めるショットを実現できるフィルムシミュレーションがとても気に入っています。背面のアスペクト比切換ダイヤルは素早く操作できて楽しいものです。というのも、カメラメニューのせいで大切な一瞬を逃してしまうような事態は絶対に避けたいからです。手にとるように分かる感覚が魅力的です。露出補正ダイヤルや感度ダイヤルのレイアウトは、かつて使っていたカメラを思い起こさせ、新しいカメラとは思えないほどの心地よさです。
 

このカメラは非常に操作が簡単で、驚かされました。父が旅で大量の機材を持ち運んでいたころと比べ、準備から出発までにかかる作業も軽減されました。他のデジタル一眼レフと比較しても、このカメラのおかげで準備が楽になったのだと実感し、とてもありがたく思えます。デザインも素晴らしく、時代を超えた美しさがあります。父の機材と自分の道具を比較するのも一種の楽しみかもしれません。かつて父が持ち運んでいた機材と比べると、必要なものすべてが詰まったこのカメラは非常に快適です。このカメラは父と同じように共に旅をして思い出を作るのに最適な道具です。