Milan Green Future
人類は急激に増加している。現在、世界の人口の約55%(約40億人)が、都市圏または都市に住んでいると言われている。そして今後数十年で、この数字は68%に達すると予測されている。
この状況が招く問題は、過去に例がない。そして世界でも有数の規模と活気を誇る各都市は、これらの新たな難題に対処するため、様々なアプローチを採用している。
私は過去数年間、先進都市の「グリーン・ジェントリフィケーション」と呼ばれるプロジェクトに携わっている。一部の都市圏はイノベーションを主導することによって、人口過剰や気候変動といった問題を解決しようとしている。それぞれの都市が先頭に立ち、全世界に模範を示している。
空気がきれいで、高い環境意識をその建築物に取り入れているシンガポールは、アジアの実用主義と、ガーデンシティを目指すという高い目標によって、私に強い印象を与えた。
一方ドバイは、2050年までに世界で最も環境に優しい都市になると約束している。排出の削減と、化石燃料依存からの脱却という意味において、印象的な目標である。砂漠の真ん中にある、経済が急拡大している産油国にとって、これは本当に難題である。
今でも成長を続ける都市・ロンドンは、気候変動と人口過剰の脅威に直面している。緑地と新たな開発地域、そしてロンドンの大動脈であるテムズ川が氾濫するリスクとの間で、何とかバランスを維持しようと奮闘している。
新たな都市像を撮影するに当たり、私の故郷・ミラノをこのプロジェクトに加えることにした。
特に2015年の国際博覧会以来、ミラノは劇的な変化を遂げた。イタリアにおけるデザイン、ファッション、工業そして金融の中心であるミラノは、イノベーションと持続可能性の分野で、欧州の主要都市の一つになると予測されている。
世界中で評価されている環境保護の実例(例えば「Bosco Verticale」(垂直の森)という開発プロジェクト)は、気候変動と環境に優しい生活に向けた取り組みを世界的に展開する都市として、ミラノをアピールすることを目指している。
ところが2020年、ミラノでは厳しいロックダウンが2か月間にわたり実施されている。隔離政策が取られ、人々は「#stayathome」運動に参加せざるを得なくなっている。5月、ミラノでは花が咲き乱れ、隔離政策は解除されつつある。人々は公園に繰り出し、ミラノの街を再び満喫できるようになった。
この都市と建築物に浸透しつつある環境保護活動が紡ぐミラノのストーリーを、私は描写し、記録したかった。新しいGF 30 mmレンズは、ストリートと建築物の両方を撮影するこのプロジェクトに最適だった。広角であり、その画角は35mm版の24mmに相当する。さらに中判カメラが持つ力強さを兼ね備えている。このレンズは、建築物にもっと近づいてフレ―ミングしたい、そして人々の存在感を際立たせたいという意欲をかき立てた。
ミラノ中を巡って写真を撮る間、日の光と春の空気が私を包み込む。
将来を見据えた野心を一時忘れたくなるような空気が、はっきりと感じ取れる。自然や自由、そして人々と触れ合うことがどれほど重要かを、今回の出来事は改めて気づかせてくれたようだ。
人類の幸福と地球の健全さとのバランスを取り戻すことがどれほど重要かを、みんなが理解しなければならない。この境界線を、我々は二度と越えてはならない。