様々な歴史や文化を持つ能登。穴水を越え奥能登に一歩足を踏み入れると、そこには日本の原風景を見ることが 出来る。特別風光明媚かというとそうでもなく、何気ない風景、景色がひとつひとつが懐かしい。 そして能登は、私が愛し撮り続けているイタリア、特にシチリア島にイメージが重なる。日本海に突き出た半島 は海に囲まれ、外浦では大陸の風を受け、内浦に入れば一転、凪の穏やかな景色と変わる。 風の強い外浦、珠洲には塩田が連なり、シチリア、トラーパニにも塩田が広がる。製法こそ違え、海と風があれ ば、そこには塩は生まれると言うことだろう。さらにシチリアには「NOTO」という町がある。特に繋がりはな いと思うが、なにかの縁を感じざるを得ない。
X との出会いは X-Pro1 からだった。X-E1、X-E2、X-T1、X100...と、X と共に歩き捉えたイタリアでの日々。私にとっ て多くの想い出と、そこから生まれたかけがえのない作品は数知れない。
X の中でも、Pro シリーズは私にとっても特別な存在である。Pro1 から始まり Pro2 になってその完成度は上が り、正直、写真を撮るという事においてこれ以上求めるところがなかった。そして今回手にすることとなった X-Pro3。正面からのルックスはほぼ変わらないものの、後ろを向けて驚いた。液晶がない...。 通常、新機種には使い勝手の向上や、さらなる性能を求めるものだが、機能に関してはマイナスの思考なのだ。 さらに十字キーも無くなっている。非常にすっきりはしているもののどうなのか。 液晶に関しては、開けば見えるというものの、普通に考えて、液晶が閉じている事によるアドバンテージは無い ように思える。写真を撮る事への原点回帰と考え、実際使ってみるとその答えは見えてくるのだろう。なにか、 これまで以上に不思議な期待に胸を膨らませながら、能登へと出掛けた。