千葉康由写真展 神へ捧げる華火

  • © Yasuyoshi Chiba

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吹き上がる火柱を抱える手筒花火。いつの頃からか、見たいと思っていた。海外に住み始めて10年以上経ち、ついにその思いを実行に移すことにした。
7月下旬に、三河地方にある奉納手筒花火で有名な、愛知県豊橋市の吉田神社と、豊川市の豊川進雄(すさのお)神社の両神社で、隣り合う日(地理的にも隣接)に効率よく撮影できることを発見し、喜びを胸に出向いたのだった。手筒花火は全国各地の花火大会で見られるが、このあたりでは地元の神社へ奉納される神事だ。
鉄砲隊を擁した将軍徳川家康のお膝元だった三河地方だけが、火薬を扱うことを許され、花火という芸術が生まれという。ここから全国各地へ花火師が渡っていったというから、まさに日本花火の源、着火点だ。
打ち上げ当日、男たちは、竹から切り出して作った手製の花火筒を、まるで子どもを抱くように持ち寄り、神前祈願する。両神社、それぞれに違った趣があり、そして日中には、どちらでも色々なことが起こっていた。
吉田神社では、各町内から集った神輿状態の大筒(花火)が、爆竹の中で担ぎ回され、豊川進雄神社では、別の場所にいるという神様を呼びに、三人の舞手が踊りながら出かけていった。先輩たちは、タバコを手に休憩する青年に、消火と叫びながらバケツの水を頭からかけ、別の先輩たちはじっと座って目を細め、大筒の用意をする青年たちを眺めている。あちこちで、世代をつなぐ光景があった。
許可された場所からヘルメットをかぶって撮影を始める。その場で見る迫力は、音のせいもあり、想像以上だった。舞い上がった火の粉が降り注ぐ中、一人一人が、筒の大きさに合わせて片手で持ったり、両手で抱えたりして、火柱がまっすぐ上がるように姿勢を正し、耐える。そして圧巻なのは、「はね」と呼ばれる、花火最後に訪れる爆発だ。いつ瞬間が来るか分からないから、うまく撮れるように、はからずも常に祈っていた
かけ足で撮影した二日間だったが、危険で大胆な手筒花火を間近で堪能し、この神事を無事終わらせた男衆に感服したのだった。もし次の人生があるなら、三河地方に生まれて、この手筒花火を継承しよう。
来年は東京五輪。開会式にこの手筒花火が登場することを、密かに妄想している。

スペシャールトークショー開催のご案内:
千葉康由写真展「神へ捧げる華火」の開催を記念し、写真展期間中の7月20日(土)に、スペシャルトークショーを開催いたします。

イベントタイトル
千葉康由写真展 神へ捧げる華火
出展写真家
千葉康由
朝日新聞写真部を退職後フリーランスとしてアフリカ・ケニアへ移住。フランスのAFP通信社のスタッフフォトグラファーとなり、ブラジル・サンパウロ、リオデジャネイロ各支局を経て、現在は再びケニア・ナイロビに戻り、同通信社の東アフリカ担当チーフフォトグラファー。
開催日時
2019年7月5日(金)- 7月25日(木)
開館時間
10:00 - 19:00 (入館は18:50まで)、無休(年末年始除く)
開催場所
富士フイルム 東京ミッドタウン本社1階 フジフイルムスクエア内

お問い合わせ
E-mail: [email protected]
Tel : 03-6271-3782 受付時間 10:00 - 18:00(年末年始除く)
その他
フォトギャラリー連絡会の申し合わせにより祝花は堅くお断り申し上げます。

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